お子さんが発達障がいの診断を受けたとき、「どう声をかけたら伝わるのだろう」と不安になりますよね。
実は、お子さんが話を聞けないのは、不真面目だからではありません。それは、脳の働きに生まれつき「得意(凸)」と「苦手(凹)」の偏りがあるためです。
この「脳の凸凹」からくる特性を理解し、声かけの方法を工夫するだけで、お子さんの混乱やストレスは大きく減り、自己肯定感を育てることができます。
この記事では、ご家庭で今日から実践できる具体的な声かけと関わり方を解説します。
発達障がいとは? <発達障がいの3つの分類と特性>
まず、発達障がいの主な特性を知り、なぜ指示が伝わりにくいのかを理解しましょう。
📌 発達障がいの主な三つの分類と特性
| 分類 | 主な特性の傾向 | コミュニケーションの困難 |
| ASD(自閉スペクトラム症) | 社会性、コミュニケーションの苦手さ、強いこだわり。 | 抽象的な内容が理解しづらい。興味のない話は入ってこない。 |
| ADHD(注意欠如・多動症) | 集中のしづらさ、多動性・衝動性。 | 指示に集中できない。指示されたことをすぐに忘れてしまう。 |
| LD(学習障害) | 読み・書き・計算など、特定の学習スキルのみに困難。 | 基礎作業にエネルギーを使うため、指示内容まで注意を向けられない。 |
多くのお子さんに共通しているのは、「言われたことをそのままの形で理解しづらい」という特性です。
伝わりやすい声かけとは?
私たちの「普通の声かけ」は、お子さんには抽象的すぎて伝わっていないことがよくあります。具体的で肯定的な言葉に変えましょう。
曖昧な言葉を避け、具体的に
「早く」「きちんと」「ちゃんと」といった言葉は、お子さんには意味が通じません。
| 伝わりにくい声かけ | 伝わりやすい声かけ | なぜ伝わるか |
| 「早く準備をしよう」 | 「長い針が5に来るまでに、準備をしよう」 | 明確な時間(ゴール)を示す。 |
| 「きちんと片づけてね」 | 「本は本棚に、おもちゃはあの箱に片づけてね」 | 何を、どこに片づけるか明確。 |
| 「ちゃんと座っていなさい」 | 「背中を背もたれにつけて、足を床につけて座ろうね」 | 具体的な姿勢(行動)を示す。 |
否定するだけではなく、代替行動を示す
「ダメ」と否定するだけでは、「代わりに何をすればいいか」がお子さんには分かりません。どうするべきかを具体的に示しましょう。
| 否定的な声かけ(悪い例) | 肯定的な声かけ(良い例) | 伝わるポイント |
| 「走っちゃダメ」 | 「ここは走るところじゃないから、歩いてね」 | 「どう行動すべきか」という具体的な代替行動を示す。 |
| 「お友達にいじわるしないで」 | 「そのおもちゃは、お友達にも貸してあげてね」 | 望ましい行動を具体的に伝える。 |
心と安心感を育む「関わり方の工夫」
伝わりやすい声かけと同時に、お子さんの感情の安定をサポートすることが重要です。
感情自体は否定しない
お子さんがトラブルでパニックになったり、大きな声を出したりしても、「嫌な気持ちになった」という感情自体は否定せず、まずは耳を傾けてあげましょう。
- 「嫌な気持ちになったんだね、辛かったね」と、共感の姿勢を見せましょう。
- 感情を受け止めた後で、「でも、大きな声を出すと皆がびっくりしちゃうから、嫌な時はそっとお母さんに教えてね」と、代替行動を伝えます。
- 感情を鎮静化させ、望ましい行動を学ぶ訓練になります。
予定変更は早めに伝える
ASDの特性を持つお子さんは、急な予定変更が苦手で、パニックになりやすい傾向があります。
- 予定が変わった場合は、できるだけ早めに伝えるようにしましょう。
- なぜ予定が変わったのかの理由を伝え、次にどうなるか(代わりの予定)を具体的に示して見通しを立てやすくしてあげることが大切です。
望ましい行動を「具体的に褒める」
褒めるときも、「何が良かったのか」を具体的に伝えましょう。
- 「走らず、ちゃんと歩けて偉いね」「おもちゃをお友達に返してあげたんだね、優しいね」
- お子さんは「この行動をすれば褒めてもらえる」と理解し、望ましい行動を再現しやすくなります。
伝わりやすさをサポートする「環境調整」
ADHDやLDのお子さんには、指示を聞くための環境も重要です。
- 口頭での指示忘れを防ぐために、絵、写真、チェックリスト、タイマーなどを使って、すべきことを視覚化しましょう。
- 指示を出す前に、肩をトントンと叩いて目線を合わせるなど、意識的に集中を促すアクションを取りましょう。
まとめ:凸凹を理解し、あなたらしいサポートを見つける
お子さんが話を聞けないのは、本人のせいではなく、脳の働きに生まれつきの凸凹があることが原因です。親御さんがご自身を責める必要は全くありません。
周りの大人は、その特性を分析し、本人に合った伝わりやすい対処法を見つけてあげることが大切です。
あなたの温かい理解と、具体的で優しい声かけが、お子さんの「自分は理解されている」「自分はできる」という安心感と自信を育む一番の力になります。


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