「うちの子なんだか、ぐにゃぐにゃ」? 低緊張(筋緊張低下症)のサインと遊びながらできるサポート法

「うちの子、なんだか体がふにゃふにゃしている」「すぐに疲れて座り込んじゃう」

と感じたことはありますか?

それは、「低緊張(ていきんちょう)」という、お子さんが自分の体を支えるための筋肉の張りが少し弱い状態のサインかもしれません。専門的には「筋緊張低下症」と呼ばれています。

低緊張のお子さんは、体がぐにゃぐにゃとしているため、姿勢を保つことが難しく、自分の体を思うようにコントロールするのが難しいと感じています。これは、やる気がないのではなく、「体が疲れやすい」「踏ん張るのが苦手」という体質のようなものなのです。


1. 低緊張ってどんな状態? 子どもに見られる特徴

低緊張とは、例えるなら「体のフレーム(骨)を支えるためのバネ(筋肉)が少し緩い」状態です。そのため、立ったり座ったりするだけで、他の子よりも多くのエネルギーが必要になります。

1-1. 日常生活で気づくかもしれない七つのサイン

低緊張のお子さんには、以下のような特徴が見られることがあります。すべてに当てはまるわけではありませんが、お子さんを観察するヒントにしてください。

  1. 姿勢の保持が難しい
    • 長時間同じ姿勢を保てず、すぐに壁や椅子に寄りかかる。
      机に肘をつく姿勢が多く、猫背になりやすい。
  2. 疲れやすい
    • 筋肉を効率よく使えないため、少しの運動や遊び、活動ですぐに座り込んだり、「疲れた」と訴えたりする。
  3. 抱っこしにくい(乳幼児期)
    • 体に力が入りにくいため、抱っこした際にぐにゃぐにゃとした感覚がある。
  4. 動きがぎこちない・不器用
    • 全体的に動作が緩慢で、手足のコントロールが苦手。
      ボタンを留める、箸を使うといった細かい動作が不器用に見える。
  5. 運動発達の遅れ
    • 寝返り、お座り、ハイハイ、歩行といった運動の発達が、他の子よりもゆっくりである。
  6. 発音が不明瞭
    • 口や舌の筋肉の張りが弱いため、言葉の発音がはっきりしないことがある。
  7. 関節が柔らかすぎる
    • 関節を支える筋肉の緊張も弱いため、関節が通常よりも大きく動いてしまうことがある(例:肘や膝が反りすぎる)。

1-2. 発達障害と低緊張の関連性

発達障害(ASDやADHDなど)を持つお子さんの中にも、筋緊張の低下が見られることは少なくありません。

  • 神経系の関連:脳からの指令が筋肉にスムーズに伝わらないことで、体の動きがぎこちなくなったり、コントロールが難しくなったりすることがあります。
  • 学習面への影響:姿勢を維持するための筋力が弱いと、椅子に長く座っていることが難しいため、結果的に集中力や学習面にも影響が出る可能性が指摘されています。

低緊張があることで、走る・跳ぶといった全身の大きな運動だけでなく、鉛筆を持つ、ボタンを留めるといった手先の細かな運動にも苦手意識を持ちやすくなります


2. 低緊張への具体的な対応策:遊びと運動のヒント

低緊張への対応は、お子さんの発達段階や興味関心に合わせて、無理なく楽しみながら体を動かすことが最も大切です。専門家(理学療法士、作業療法士など)の指導のもとに行う運動療育が望ましいですが、ご家庭でもできる簡単な工夫から始めましょう。

2-1. 日常の遊びで「体幹」を鍛える

体幹(体の中心部、腹筋や背筋)を鍛えることが、姿勢の安定に繋がります。

遊びのアイデア鍛えられることポイント
トンネルくぐりハイハイや四つん這いの姿勢で全身の筋肉を使い、体幹を鍛えます。ダンボールや毛布を使って、楽しくくぐれる空間を作ってあげましょう。
飛行機のポーズ腹ばいの姿勢で手足を床から浮かせることで、背筋や腹筋を鍛えます。短時間から始め、徐々に時間を延ばし、痛気持ちいい程度で行います。
ボール遊び投げる、蹴る、キャッチするなどの動作で、手足の協調性や距離感を養います。柔らかいボールから始め、徐々に難易度を上げていきましょう。
砂場遊びシャベルで掘る、山を作るなどの動作で、手指の器用さや腕の力を養います。道具を使う練習は、微細運動の発達に繋がります。
水遊び・水泳水の抵抗を利用して、関節への負担が少なく、全身の筋肉をバランスよく鍛えることができます。浮力があるため、運動が苦手でも楽しく取り組めます。

2-2. 姿勢と動作のちょっとした工夫

正しい姿勢を保つことが、疲れにくさや集中力に影響を与えます。

  • 座り方の意識:椅子に座る際には、足裏がしっかり床につくように高さを調整します。背筋を伸ばすことを意識させましょう。
  • 食事の環境高さの合った椅子や机を選ぶようにし、姿勢が崩れにくい環境で食事をさせましょう。
  • 楽な姿勢の容認:絵を描いたり、何か作業をする際には、完全に無理強いせず、机に肘をつくなど、楽な姿勢を見つけてあげることも大切です。

2-3. 日常動作を「遊び」に変えて練習する

着替えや片付けといった日常生活の動作も、体幹や手足の協調性を鍛える良い機会になります。

  • 着替え:大きなボタンやマジックテープの服から始め、徐々に細かいものに挑戦します。服を引っ張る動作は腕の筋肉を使います。
  • 片付け:おもちゃを箱に入れる、本を棚に戻すなどの動作は、体幹や腕の筋肉を使う訓練になります。

3. 周囲の理解と医療機関への相談の重要性

低緊張のお子さんの成長には、周りの大人の温かい理解と適切なサポートが不可欠です。

3-1. 焦らず、温かい声かけで自信を育む

低緊張のお子さんは、疲れやすさから活動への意欲が低下してしまうこともあります。

  • 「ゆっくりでいいよ」「疲れたら休憩しよう」といった温かい声かけで、お子さんのペースを尊重しましょう。
  • 少しでもできたことや頑張ったことを見つけ、「最後まで座って絵本が聞けたね、すごい」「ボールをキャッチできたね、上手」と具体的に褒め、励ますことがお子さんの自信につながります。

また、保育園や学校などの関係機関と連携し、お子さんの特性を共有して協力体制を築くことも重要です。

3-2. 専門家への相談も大切

低緊張は、単なる体質だけでなく、神経系の疾患や染色体異常による症候群などが原因として隠れている場合もあります。

  • 相談の目安意識しても緊張状態が保てない発達の遅れが顕著であるなどの気になる症状が見られる場合は、自己判断せずに、小児科や児童神経科などの専門医に相談することをおすすめします。
  • 専門家の力:理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といった専門家による運動療育は、お子さんの発達を大きくサポートしてくれます。

適切な診断と早期の介入が、お子さんの持つ可能性を最大限に引き出すことにつながります。


4. まとめ:焦らず、楽しみながら、お子さんのペースで

低緊張のお子さんの成長には周りの理解と適切なサポートが不可欠です。

大切なのは、親御さんが一人で抱え込まず、お子さんの特性を知り、遊びや運動を通して体を動かす楽しさを体験させてあげることです。

お子さんのペースに合わせて、専門家との連携も視野に入れながら、私たち大人が温かくサポートしていきましょう。

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