「動画の見過ぎ」インターネット動画のメカニズムと子どもの成長に活かす方法

子育て中の親御さんにとって、今、最も身近で深刻な悩みの一つが子どものインターネット動画との付き合い方ではないでしょうか。

「リビングのテレビを一日中独占している」
「動画を見たいせいで、休みの日に外へ遊びに行くことを拒否する」
「何度声をかけても、なかなかやめてくれない」

こうしたお声を本当によく耳にします。動画がやめられないのは、決して「しつけ」の問題だけではありません。インターネット上の動画は、大人が想像する以上に、子どもの脳や心理に強く作用する仕組みで溢れているからです。

この記事では、子どもが動画に夢中になってしまう脳科学的な理由(ドーパミン)や心理的な仕組み、そして、単に禁止するだけでは逆効果である理由を分かりやすく解説します。


1. なぜ子どもはネット動画を「やめられない」のか?

子どもたちがインターネット動画に熱中し、次の動画へと手が伸びてしまうのは、仕掛けられた誘惑と脳の仕組みが大きく関わっています。

1-1. ドーパミンによる中毒性

動画がやめられない最大の原因の一つは、「ドーパミン」という脳内の神経伝達物質による影響です。

ドーパミンの役割

ドーパミンは、脳が活性化したり、興奮したりしたときに分泌される物質です。何かを達成したときや欲求が満たされたときに快感や喜びをもたらし、「もっとやりたい」という意欲を高めます。

動画とドーパミン

インターネット動画は、常に新しい刺激や情報、笑いを瞬時に提供します。これにより、お子さんの脳内でドーパミンが分泌され、次の快感を求めて、止められなくなってしまうのです。

ドーパミン自体は、やる気を高める良い物質ですが、この仕組みによって動画には強い中毒性が生まれてしまいます。

1-2. 発達特性と「やめられない」の深い関係

特に、発達の特性を持つお子さんは、この中毒性にハマりやすくなる傾向があります。

ADHDタイプのお子さん

衝動性や気持ちの切り替えが苦手という特性があるため、目の前の刺激(動画)に対して、他の人よりも強く引きつけられ、「もう終わり」と自分でコントロールすることが難しくなります。

シロクマ効果

心理学には「シロクマ効果」という現象があります。インターネット動画を見てはダメ、と禁止されるほど、逆に動画のことが頭から離れなくなり、「禁止されるとやりたくなる」という心理が働いてしまうのです。

単に「やめなさい」と叱るだけでは、お子さんの脳の仕組みや心理的な反発に負けてしまい、根本的な解決には繋がりません。


2. 動画は禁止すべき? メリットを知って活用する視点

「YouTubeは絶対に見せない」と厳しく制限しているご家庭もありますが、現代において、動画ツールは悪い面ばかりではありません。適切な対策を施した上で活用することで、お子さんの成長にプラスに働くメリットもあります。

2-1. 動画がもたらす三つのメリット

  1. 好奇心を刺激:子どもたちの興味・関心を引き出す多様な動画が配信されています。ダンスや実験、工作など、動画をきっかけに実際の行動を始めるチャンスになることもあります。
  2. 学びにつながる:知育動画や勉強の解説動画といった教育系コンテンツが豊富です。歌で自然に英語を学んだり、実際に物を動かしながら計算を説明したりと、動画の利点を活かして分かりやすく学べます。特に視覚優位のお子さんにとっては、脳に届く情報量を増やし、学習力を高める良いツールとなります。
  3. 流行がわかる:多くの子どもたちがインターネット動画を視聴している現代では、流行の曲やダンス、タレントなどの情報を知ることは、友達との共通の話題となり、コミュニケーションを取りやすくすることに繋がります。

2-2. 見せないことで情報が減るリスク

動画を見せないことで、確かに悪影響は回避できますが、その分、お子さんの脳に届く情報が少なくなってしまうリスクもあります。動画には、普段行くことができない場所や、異文化に触れる機会を与え、子どもの脳の発達にプラスになる情報も多く含まれているのです。

大切なのは、禁止や放置ではなく、コントロールです。


3. うまく付き合っていくための具体的な方法

動画の持つ中毒性を理解した上で、親子でうまく付き合っていくためには、動画を見る時間よりも、見せた後の行動が重要になります。

3-1. 見た情報をアウトプットさせるサイクルを作る

動画を見ただけで終わりにするのではなく、インプット(見る・聞く)した情報を、アウトプット(行動する・話す)させるサイクルを繰り返すことで、子どもの脳はどんどん発達していきます。

方法①

動画を見終わった後に、「あの実験、どうなったの?」「あのキャラクターはどんな気持ちだった?」などと質問し、子どもに自分の言葉で話させる機会を作りましょう。これにより、受け身だった情報が、記憶として定着します。

方法②

歌の動画を見たなら「一緒に歌ってみよう」と誘う、アニメのキャラクターが好きなら「粘土で一緒に作ってみよう」と遊びに繋げるなど、映像をもとに子どもに楽しみを作ってあげることが重要です。

3-2. 「見すぎ問題」を解決する根底の対処法

インターネット動画を見すぎてしまう問題の根底には、子どもに他の楽しみが見つかっていないこと親が子どもの本当の興味を理解できていないことが隠れています。

  1. 代替案:無理やり動画を見るのをやめさせても、他に楽しいことがなければ、また動画に戻ってしまいます。動画を見る時間と同じくらい、子どもが夢中になれる別の活動(外遊び、ボードゲーム、工作など)を代替案として用意しましょう。
  2. 信頼関係:親が子どもの興味関心や、動画を見る理由をよく理解し、コミュニケーションを試みることが重要です。親子の間に信頼関係が築けていれば、子どもは親の言うことを聞きやすくなり、また子どもからも「本当はこれをやりたい」という要望を伝えやすくなります。

4. まとめ:適切な対策で安全・快適に視聴しよう

インターネット動画に関する問題を解決するためには、親は子どもが楽しいと思えることや、子どものことをよく考え、コミュニケーションを試みることが重要です。

  • 脳の特性を理解する:動画がやめられないのはドーパミンや特性による影響が大きいことを理解し、頭ごなしに叱らない。
  • 適切な時間制限:動画の時間を家族で話し合って決め、視覚的なタイマーなどを使って守れるように工夫する。
  • アウトプットを促す:動画を見たら、感想を話したり、遊びに繋げたりして、情報を受け身で終わらせない。

インターネット動画は、上手に使えば子どもにとっても親にとってもメリットがたくさんあります。きちんと対策をして、安全かつ快適に視聴することで、動画を子どもの成長に活かしていきましょう。

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