お子さんの発達について「他の子と少し違うかも」「うちの子、なんだか生きづらそう」と感じながら、一人で悩みを抱えていませんか。
もしかして発達障害なのかな…という不安は、親御さんにとって非常に大きなものです。しかし、その不安を乗り越え、特性を正しく知ることこそが、お子さんの未来を明るくする最大の鍵になります。
発達障害は、生まれつき持っている「脳の特性」であり、病気ではありません。その特性からくる困りごとや生きづらさを理解し、周りの大人が少しだけ関わり方を変えてあげるだけで、お子さんは驚くほど楽になり、自信を持って成長できるようになります。
この記事では、発達障害を持つお子さんが日常生活で抱える具体的な困りごと、そして「病院に行くのは怖い」と感じている親御さんにこそ知ってほしい、診断を受けることのポジティブなメリットについて詳しく解説します。
1. 発達障害とは? 子どもが日常で抱える「困りごと」
発達障害は、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、LD(学習障害)など、いくつかの特性に分類されますが、ここでは、多くのお子さんが共通して抱える「困りごと」をご紹介します。
1-1. 周りから誤解されやすい代表的な困りごと
お子さんが「サボっている」や「わがまま」と誤解されがちな行動の裏には、脳の特性による本人が努力してもどうにもならない困難が隠れています。
| 困りごとの種類 | 具体的な例と特性の背景 | 周りからの誤解 |
| ① 変化が苦手 | 予定や手順が変わると動けなくなる。特定のルーティンや物事へのこだわりが強い。 | 協調性がない、融通が利かない。 |
| ② 集中できない | 授業中に話を聞くのが難しい、宿題をすぐにやめてしまう。外の音に敏感で気が散る。 | 落ち着きがない、やる気がない、不真面目。 |
| ③ 忘れ物が多い | 約束やルール、何をどこにしまったかを忘れてしまう。計画を立てることが苦手。 | だらしない、自己管理ができない。 |
| ④ 感情や行動のコントロールが難しい | 感情があふれ出しやすく、気持ちの切り替えや周囲と同じペースで取り組むことが苦手。 | わがまま、すぐにキレる、我慢が足りない。 |
| ⑤ 困っている理由が伝わりづらい | 苦手なこと以外は問題なくこなせるため、「できるのにサボっている」と誤解されてしまう。 | 能力があるのに努力しない、親のしつけが悪い。 |
これらはすべて、お子さんが生まれつき持っている特性からくるものであり、本人の努力不足ではありません。この「困りごと」が原因で対人トラブルに発展し、不登校や抑うつといった二次的な問題に繋がるケースも少なくないのです。
1-2. 日常の様々な行動に現れる特性のサイン
困りごとの現れ方はお子さん一人ひとり異なります。
- 対人関係のサイン
他人と目を合わせるのが苦手、会話の中で相手の表情や気持ちを読み取ることが難しい。 - 行動のサイン
マイペースな行動が目立つ、活動への切り替えが極端に苦手、授業中じっと座っているのが難しい。
周りの大人がこの「生きづらさ」の兆候を見逃さず、「この子自身も困っているかもしれない」と気持ちに寄り添ってあげることが、何よりも大切です。
2. 「病院に行くのは怖い」と感じる親御さんへ
「もしかしたら発達障害かも」と気づいても、「診断を受けるのは怖い」「本当に何も変わらないんじゃないか」と、病院に行くのをためらってしまう親御さんは非常に多いです。
しかし、診断を受けることは、決して「レッテルを貼る」ことではありません。それは、お子さんの特性を明確に把握し、未来の生きづらさを解消するための羅針盤を手に入れることです。
2-1. 発達障害の診断を受けるポジティブなメリット
診断を受けることには、お子さんの成長とご家族の安心に直結する、大きなメリットがあります。
メリット① 福祉サービスを利用できる(早期の支援が成長の鍵)
- 診断書を基に受給者証の申請をすることで、児童発達支援や放課後等デイサービスといった療育の場を利用できます。
- 療育は、その子に必要な特性に合わせた訓練を行うため、早期から支援を開始することで、社会性や学習能力を大きく伸ばすことに繋がります。
- 保育所訪問などのサービスを利用すれば、幼稚園や学校での集団生活をサポートする専門的な支援も受けられます。
メリット② 理由が分かり、親子で安心できる
- 「原因が分からず、ただただ悩んでいた状態」から、「診断がおりて、なぜこの子が困っているのかが明確になった」という安心感は、親御さん自身の心の負担を大きく軽減します。
- 原因が分かれば、叱るべき場面と、特性に合わせた支援が必要な場面を区別できるようになり、親子関係が楽になります。
メリット③ 二次障害の予防に繋がる
- 特性を知り、それに合わせた環境調整を早期に行うことで、いじめ、不登校、抑うつといった「心の傷(二次障害)」の発生を未然に防ぐことにつながります。
2-2. 診断を受ける際の注意点と心構え
診断はあくまでスタートラインです。診断後の状況や感情にも配慮が必要です。
- 想定外の診断:発達障害とうつ病は併発しやすいため、「想定していた診断と違った」「うつ病のみの診断だった」というケースもあります。診断後も不安が残る場合は、複数の専門家の意見を聞くセカンドオピニオンを検討することも一つの方法です。
- 周囲への伝え方:診断がおりても、周囲にオープンにすることで差別的な扱いを受けたケースも残念ながら存在します。まずは信頼できる人のみに打ち明ける、または発達障害の理解がある環境(放課後等デイサービスなど)に行くことで、生活が楽になる可能性があります。
3. 周りの人のかかわり方と相談の第一歩
発達障害の特性は生まれつき持っているものですから、周りの大人がその特性を「治す」のではなく、「正しく認知し、支援する」ことが重要です。
3-1. 周囲の人が心がけるべきこと
- 困っているかもしれないという視点:子どもがマイペースな行動をしたり、指示通りに動けなかったりするとき、「わざとやっている」のではなく、「この子自身も困っているかもしれない」という気持ちに寄り添ってあげましょう。
- 兆候を見逃さない:不登校やうつ病など二次障害を防ぐためにも、イライラが増えた、急に無気力になった、腹痛や頭痛を訴えるといった心のSOSの兆候を見逃さないようにしてあげることが大切です。
3-2. 一人で悩まず、まずは相談してみよう
「子どもはよく動くものだから、一概に発達障害とは言えない」と、自己判断で片付けてしまうのは危険です。子ども一人ひとり症状は様々で、判別が難しいのが現状です。
まずは子どもの症状を正確に把握することで、日常生活の悩みが楽になったり、お子さんによりよい環境や支援に出会える可能性が広がります。
不安な方は、一人で悩まずに、以下の専門機関などに相談の第一歩を踏み出してみてください。
- 医療機関:発達を専門とする小児科や精神科、心療内科
- 支援機関:発達障害者支援センター、保健センター、市の障害福祉課
正しい支援に出会うことは、お子さんの未来だけでなく、ご家族全員の安心に繋がるのです。


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