「朝、どうしても起きられない」
「バイトに行っても、数日でパニックになって辞めてしまう」
「転職を繰り返していて心配」
家にいる我が子の背中を見て、『どうしてうちの子だけ、こんなに苦しんでいるんだろう……』と、やり場のない思いを抱えながら、誰にも言えない不安を胸にギュッと閉じ込めていませんか?
親御さんが抱えるその不安は、決して甘えでも、育て方のせいでもありません。まずは、同じような状況から、自分なりの歩幅で歩き出した3人のエピソードを詳しくご紹介します。
【自分に合った働き方】を見つけた3つのモデルケース
【モデルケース①】事務職で挫折後、現場仕事へ
Aさんは大学卒業後、大手企業の一般事務として就職しました。
しかし、働き始めて数ヶ月でミスが目立ち始めました。
- 会議の議事録がまとめられない(話を聞きながら書くのが苦手)
- 書類の誤字脱字、日付間違いを毎日指摘される
- 「ついでにこれもやっておいて」という急な依頼でパニックになる
職場では上司から「やる気があるのか」と叱られ、家では親御さんから「もっと確認しなさい!」と厳しく言われる。。。
結果、Aさんは自信を失い、半年で退職。その後、再就職せずに引きこもり生活に入ってしまいました。
そんなAさんの転機となったのは、親御さんのある「気づき」でした。
Aさんは机に座り続けるのは苦手ですが、趣味の自転車いじりには驚異的な集中力を発揮していました。親御さんはこれを仕事にも活かせるのではないかと考えました。そこで「事務職」ではなく、「外回り中心の設備メンテナンス職」を提案。これが功を奏しました!
現在は、各地の店舗を回ってエアコンや厨房機器を修理する仕事をしています。「現場へ行き、目の前の機械を直し、完了したら次の場所へ」という完結型のスタイルが、Aさんの特性にピッタリとハマった結果です。動きがあることで脳が活性化し、今では「君が来ると現場が明るくなる」と、お客様からも頼りにされる存在です。
【モデルケース②】ASD対人恐怖から自分に合った働き方へ
BさんはASDの特性をもっており、人の表情を読み取ることや、一度にたくさんの情報を処理することが苦手でした。
短大を卒業してアパレルの販売員になりましたが、これが彼女にとっての地獄でした。店内のBGM、大勢の客の話し声、そして「お客様の意図を汲み取った接客」……。
聴覚過敏と対人ストレスで、毎日帰宅すると倒れ込むように、、、。
ついには店に行こうとすると動悸が止まらなくなり、退職に至りました。
Bさんは「自分に合った仕事や環境」に気づき、社会復帰しました。
数年の休養期間を経て、Bさんは自分のペースで学べるITスクールに通い始めました。
そこで「コードを書く」「データを整理する」という、ルールが明確で、かつ視覚的に判断できる仕事が、自分に合っていることに気づきました。
現在は、完全在宅のデータアナリストとして働いており、社会復帰を果たしています。
今の働き方では、コミュニケーションはほとんどテキスト(チャット)で行われるため、「行間を読む」必要がありません。また、在宅でできるため、静かな自室でストレスなく作業をしています。
Bさんが自分の特性に気付いたことで、「自分に合った仕事や環境」を選択できたからです。結果、高い集中力を活かして数字と向き合うことができるようになりました。
Bさんは今、「外に出なくても、社会と繋がれる」という安心感の中で過ごしています。
【モデルケース③】ADHD/ASD 制度の活用「ちょっとした配慮」でうまくいく
CさんはADHDとASDの両方の特性を持っていました。人当たりは良いのですが、時間の管理が苦手で、マルチタスクになると何から手をつけていいか分からなくなってしまいます。一般の就職活動では最終面接まで行くものの、採用には至らず。数えきれない不採用通知に疲れ果てていました。
「プロの支援」と「制度の活用」で就職へ
当初、Cさんも親御さんも「障害者雇用」に抵抗感がありました。しかし、あまりの疲弊ぶりを見た親御さんが方針を転換。障害者手帳を取得し「障害者就業・生活支援センター」に相談することにしました。
そこで紹介されたのは、大手企業の特例子会社(障害者雇用を推進する会社)です。
この会社では「指示は必ず付箋かメールで出す」「1日のスケジュールを朝に確定させる」といった配慮が当たり前に行われていました。Cさんは「自分がダメなんじゃなくて、やり方が合っていなかっただけなんだ」と気づき、現在は事務センターのリーダー候補として活躍中。5年以上安定して勤務しています。
親が知っておくべき「特性」のこと
どのモデルケースも最初はみんな「働けない自分」に絶望していました。親御さんから見ると「怠けている」「もっと努力できるはず」に見えるかもしれませんが、実は、お子さんの脳内では想像以上の負荷がかかっています。
「酸素の薄い場所」で全力疾走しているような苦しさ
発達障害や特性がある人にとって、社会が「当たり前」とする職場環境は、「高地訓練」になってしまうことがあります。
- 感覚の過負荷: 私たちが気にならない電話の音や蛍光灯のチカチカが、彼らには脳を刺すような刺激として伝わることがあります。
- ワーキングメモリの限界: 複数の指示を一度に受けると、脳のメモ帳がいっぱいになり、システムダウン(パニック)を起こしてしまいます。
「負の連鎖」が起こっているかも
障害や特性のために、これまでに何度も「なんでできないの?」「次は気をつけて」と言われた経験。これは、想像以上に本人の心にダメージを与えています。その結果、「次もまた失敗するに違いない」「できない自分が悪いんだ」というマイナスな感情が芽生え、それが足枷となって動けなくさせているのです。まさに負の連鎖です。
負の連鎖から抜け出すには、「本人の特性」と「仕事内容・環境」がマッチすることが大切。モデルケースはそれができたからそれぞれの能力が発揮されたのです。
今日から、親御さんの「焦り」を少しだけ減らすための3つのステップ
わが子の将来を想うあまり、つい言葉が厳しくなってしまうこともあるでしょう。でも、親御さんが一人で背負う必要はありません。
①「働け」という言葉や感情を、一旦封印してみる
家を「社会からの攻撃を避けるためのシェルター」にしてあげてください。「今は何も考えずに休んでいいよ」というメッセージが伝わり、心が十分に充電されれば、子どもは自ずと「自分はどう生きたいか」を考え始めます。
② 専門機関に「頼る・任せる」勇気を持つ
親子だと、どうしても感情がぶつかり、お互い苦しくなってしまうことがあります。そんな時は、福祉のサポートに頼るのも選択肢のひとつです。
「お子さんに合ったステップ」で活用できるようにさまざまなサポートが用意されています。
- 発達障害者支援センター
全体的な相談窓口。就労だけでなく、生活や人間関係など、どこに相談すればいいか迷ったときに最初に頼るべき場所です。親御さん自身の悩みにも寄り添ってくれます。 - 就労移行支援
一般企業への就職を目指したい、体力が安定している方を対象としています。
就職のための予備校のような場所。自分に合った仕事探しや、職場でのコミュニケーションの練習を最大2年間受けられます。 - 就労継続支援A型
サポートを受けながら、しっかり働いて給料を得たい方が対象。
福祉施設と「雇用契約」を結んで働きます。最低賃金が保証されるため、自立への自信に繋がりやすいのが特徴です。 - 就労継続支援B型
体力に不安がある、まずは短時間や自分のペースから始めたい方向けです。
雇用契約を結ばず、体調に合わせて作業を行います。雇用契約なしですが、工賃は受け取れます。「外に出る練習」や「心の給水所」として、じっくり自信を取り戻すことができます。
専門家を介在させることで、親御さんは「教育者」や「コーチ」の役割から解放され、一番大切な「味方」でいることに専念できます。
③ 経済的な心配「制度の活用」も視野に入れる
「もし一生働けなかったら、誰がこの子を支えるの?」という不安が、焦りの最大の原因かもしれません。
- 障害年金: 働けない、あるいは働き方に制限がある場合に支給される国の年金です。
- 自立支援医療: 精神科などの通院費が原則1割負担になります。
経済的な基盤があると、親子ともに不安が軽減されるはずです。
親の役割は「隣にいること」
お子さんの自立は、100メートル走のようなスピード勝負ではありません。何度も立ち止まり、時に逆戻りしながら進む、長い長い「お散歩」のようなものです。
「普通」という枠に無理やり当てはめなくても、お子さんに合った「働き方や環境」「特性が武器になる場所」は必ずあります。
まずは親御さんが温かいお茶でも飲んで、ホッと一息ついてください。親御さん自身が笑顔でいること、そして「何があっても、あなたの味方だよ」と包み込むこと。それが、お子さんにとって社会へ踏み出すための、何よりの勇気になるはずです。
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